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シシリー・ソンダースとは|近代ホスピス運動の創始者・ナイチンゲール博物館特別講演2026年2月13日

シシリー・ソンダース(Dame Cicely Saunders:※シセリー・ソーンダースとも表記)は近代ホスピス運動の創始者として知られます。シシリー・ソンダースが築いた「痛みだけでなく、心の苦しみもケアする」という緩和ケアの理念は、現代医療に大きな影響を与え続けています。2026年2月13日、フローレンス・ナイチンゲール博物館では、シシリー・ソンダースの生涯と功績を深く学べる特別講演が開催されます。

シシリー・ソンダースとは

シシリー・ソンダース(Dame Cicely Saunders) は、20世紀の医療史において最も重要な人物の一人です。シシリー・ソンダースは「近代ホスピス運動の創始者」と呼ばれ、終末期医療の概念を根本から変えました。シシリー・ソンダースは看護師、医療ソーシャルワーカー、医師という三つの専門資格を持ち、患者の身体・心理・社会・スピリチュアルな苦痛を総合的に理解しようとした先駆者です。

シシリー・ソンダースが提唱した「全人的苦痛(トータルペイン:Total Pain)」の概念は、今日の緩和ケアの基礎となっています。これは、痛みを単なる身体症状として捉えるのではなく、人生の背景、孤独、恐怖、喪失感など、複合的な要素として理解する考え方です。シシリー・ソンダースの視点は、世界中の医療者に影響を与え、緩和ケアの標準となりました。

近代ホスピス運動を生んだ背景

シシリー・ソンダースがホスピス運動に関心を持つようになった背景には、第二次世界大戦後の医療現場があります。当時の医療は「治すこと」に重点が置かれ、治癒が見込めない患者は十分なケアを受けられない状況がありました。シシリー・ソンダースは看護師として働く中で、痛みや不安に苦しむ患者が適切な支援を受けられず、孤独の中で最期を迎える現実を目の当たりにします。

シシリー・ソンダースが看護師から医師へ転身した理由

シシリー・ソンダースは最初、看護師としてキャリアをスタートしました。しかし、患者の痛みを適切にコントロールするためには、医師としての知識と権限が必要だと痛感します。そこでシシリー・ソンダースは30代で医学部に進学し、医師としての資格を取得しました。

この「看護師 → ソーシャルワーカー → 医師」という異例の経歴こそが、シシリー・ソンダースの強みとなりました。多職種の視点を持つことで、患者の苦痛を多面的に理解し、より包括的なケアを実現できたのです。

緩和ケアの理念「全人的ケア」とは

シシリー・ソンダースが提唱した緩和ケアの核心は、「全人的ケア(Holistic Care)」 です。これは、患者を「病気の集合体」としてではなく、「人生を生きる一人の人間」として捉える姿勢です。

全人的ケアでは、以下の4つの側面を重視します。

  • 身体的苦痛(痛み・症状)
  • 心理的苦痛(不安・恐怖)
  • 社会的苦痛(孤独・役割の喪失)
  • スピリチュアルな苦痛(生きる意味・死への問い)

シシリー・ソンダースの、この考え方は、現在の緩和ケアの国際基準にも取り入れられ、世界中の医療者が実践しています。

近代ホスピス運動の歴史と発展

ホスピス誕生前の終末期医療

ホスピス運動が生まれる以前、終末期医療は十分に整備されていませんでした。治療が難しい患者は「医療の対象外」とされ、痛みや不安を抱えたまま最期を迎えることが多くありました。医療者の多くも「治せない患者」に向き合う方法を学んでおらず、ケアの質には大きな課題がありました。

シシリー・ソンダースが築いたホスピスのモデル

1967年、シシリー・ソンダースはロンドンに「セント・クリストファーズ・ホスピス(St Christopher's Hospice)」 を創設します。これは世界初の近代ホスピスであり、医学・看護・心理・宗教・ボランティアが連携する総合的なケアモデルを確立しました。

セント・クリストファーズでは、痛みのコントロール、家族支援、在宅ケア、研究、教育が一体となって行われ、世界中の医療者が学びに訪れる拠点となりました。このモデルはその後、世界各国のホスピス・緩和ケア施設の基礎となります。

世界に広がった緩和ケアの考え方

シシリー・ソンダースの理念は、イギリス国内にとどまらず、アメリカ、カナダ、オーストラリア、アジア諸国へと広がりました。WHO(世界保健機関)も緩和ケアの重要性を認め、国際的な医療政策に組み込まれるようになります。

今日では、緩和ケアはがん医療だけでなく、心不全、神経難病、認知症など、さまざまな疾患に適用されるようになり、医療の重要な柱の一つとなっています。

ナイチンゲール博物館で開催される特別講演について

講演のテーマと内容

2026年2月13日、ロンドンのフローレンス・ナイチンゲール博物館では、特別展「In Focus: Dame Cicely Saunders」に関連した特別講演が開催されます。この講演では、シシリー・ソンダースの生涯、近代ホスピス運動の誕生、そして緩和ケアの発展について、一般の来館者にもわかりやすく紹介されます。

講演の中心テーマは、シシリー・ソンダースが提唱した「全人的苦痛(Total Pain)」の概念と、それがどのように医療現場を変革したかという点です。さらに、シシリー・ソンダースが創設したセント・クリストファーズ・ホスピスの役割や、世界中に広がったホスピス運動の影響についても深く掘り下げられます。

また、ナイチンゲールとシシリー・ソンダースという、異なる時代に生きながらも「患者中心のケア」という共通理念を持つ二人の女性の思想的なつながりにも触れられます。医療史に興味がある方はもちろん、人の生き方やケアのあり方に関心がある方にも響く内容です。

講演者サラ氏の経歴(NHS40年・緩和ケア専門看護師22年)

講演を担当するのは、NHS(英国国民医療サービス)で40年間勤務し、そのうち22年間を緩和ケア専門看護師として過ごしたサラ氏です。サラ氏はガイズ&セント・トーマス病院、キングス・カレッジ病院、プリンセス・ロイヤル病院など、英国の主要医療機関で豊富な経験を積んできました。

サラ氏は、終末期ケアの現場で数多くの患者と家族を支えてきた実践者であり、シシリー・ソンダースの理念を現代の医療現場で体現してきた人物です。講演では、医療者としての経験を交えながら、緩和ケアの実際や、患者と向き合う姿勢について語られます。

さらに、サラ氏にはユニークなエピソードがあります。学生時代、ナイチンゲールの幼少期の家であるエンブリー・パークで開催された学校ディスコに参加したことがあります。歴史上の人物と現代の医療者が思わぬ形でつながる、ちょっと微笑ましい逸話です。

終末期ケアを学ぶ上での注意点

今回の講演では、終末期ケアや末期疾患に関する内容が含まれます。これらは非常にデリケートなテーマであり、参加者の心身に負担を与える可能性があります。博物館側も、来場者に対して「ご自身の健康状態に配慮しながらご参加ください」と注意を促しています。

終末期ケアは「死」を扱うテーマである一方、「生きることの意味」を深く考える機会にもなります。講演を通じて、サンダースが患者に寄り添い続けた姿勢や、ケアの本質に触れることができるでしょう。

フローレンス・ナイチンゲール博物館の基本情報

所在地・アクセス

フローレンス・ナイチンゲール博物館は、ロンドン中心部のセント・トーマス病院(St Thomas' Hospital)の敷地内に位置しています。テムズ川沿いにあり、対岸にはビッグ・ベンや国会議事堂が見える絶好のロケーションです。

最寄り駅はWaterloo駅で、徒歩圏内にあります。観光とあわせて訪れやすい立地です。

開館時間と一般入場料

博物館の開館時間は10:00〜17:00(最終入場16:00)です。 一般入場料は以下のとおりです。

  • 大人:£12
  • 子ども(6〜16歳):£8
  • 5歳以下:無料
  • 学生・シニア割引あり

特別講演はこの一般入場料に含まれており、追加料金は必要ありません。

特別展「In Focus: Dame Cicely Saunders」の見どころ

この特別展では、シシリー・ソンダースの生涯を象徴する資料が展示されています。彼女が残した手紙、研究ノート、ホスピス創設に関する記録、患者との交流を示す資料など、貴重なコレクションが並びます。

また、ナイチンゲールとシシリー・ソンダースという二人の医療改革者の思想的な共通点にも焦点が当てられています。時代は異なっても、「患者の尊厳を守る」という理念がどのように受け継がれてきたのかを知ることができます。

まとめ|シシリー・ソンダースの思想に触れる貴重な機会

シシリー・ソンダースは、近代ホスピス運動を創り上げた偉大な医療者であり、彼女の理念は今も世界中の医療現場で生き続けています。今回の特別講演は、シシリー・ソンダースの思想を深く理解し、緩和ケアの本質に触れる絶好の機会です。

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