
トゥレット症候群(Tourette Syndrome)は、18歳までに発症する神経発達症の一つで、運動チックと音声チックが1年以上続くことが特徴です。
チックは「くせ」ではなく、脳の働きに関係する医学的な症状であり、意思とは無関係に体が動いたり声が出たりします。
診断基準としては、①複数の運動チック、②1つ以上の音声チック、③1年以上持続、④18歳以前に発症が挙げられます。一時的なチック(数か月で消える)とは異なり、症状が波のように強まったり弱まったりしながら続く点が特徴です。
トゥレット症候群は育て方や性格の問題ではありません。 医学的には、脳内のドーパミン受容体の過敏性や神経回路の働きが関係していると考えられています。
ストレス・疲労・緊張などでチックが悪化することがありますが、これは「気の持ちよう」ではなく、脳の反応によるものです。 逆に、集中している時やリラックスしている時には症状が軽くなることもあります。
まばたき、首振り、肩すくめ、顔をしかめる、腕を突き出すなど、単純な動きから複雑な動きまで幅があります。
咳払い、鼻鳴らし、叫び声など。 一部の人にみられる汚言症(コプロラリア)は、社会的に不適切な言葉が突発的に出てしまう症状ですが、発症率は高くありません。
多くの当事者が「体の奥から突き上げるような違和感」「出さずにはいられない感覚」を訴えます。 チックはこの不快感を一時的に解消するために起こるとされ、意思で止め続けることは困難です。
トゥレット症候群の治療は、症状の程度や生活への影響に応じて選択されます。
近年注目されている非薬物療法で、チックを別の動作に置き換える「競合反応訓練」などを行います。 NHKでも取り上げられることが増えており、科学的根拠のある治療法として国際的に推奨されています。
ドーパミン受容体に作用する薬などが使用され、症状の強さを和らげる効果があります。 医師と相談しながら、生活の質を高めるために適切な治療を選択します。
ビリー・アイリッシュ(歌手):自身がトゥレット症候群であることを公表。理解を広げる活動を行っています。
実在の教師ブラッド・コーエンの自伝をもとにした作品。 チック症状と向き合いながら教師になるまでの道のりが描かれています。
主人公がチック症状を抱える設定で、社会の偏見や生きづらさが描かれています。 実在の人物ではなく、映画上のキャラクターです。
2026年5月12日(再放送:5月18日)、NHK Eテレで 『はじめましての2人旅 トウレット症の女性×看護師・プロボクサー in 岩手』 が放送されました(語り:板垣李光人)。
番組では、トゥレット症候群の当事者の女性と、看護師でありプロボクサーとして活動する津端ありささんが岩手を旅し、 症状への向き合い方や、公共の場での生きづらさ、周囲の理解の重要性が語られました。
この回は、当事者のリアルな体験を丁寧に伝え、視聴者に「見守る側の正しい姿勢」を考えるきっかけを与えた内容として評価されています。
日本には、当事者と家族を支える団体があります。
日本トゥレット協会:正しい知識の普及、相談支援、交流会などを実施。 医療機関や学校との連携も進めており、孤立を防ぐための重要な役割を担っています。
トゥレット症候群は「わざと」でも「不謹慎」でもありません。 脳の働きによる医学的な症状であり、適切な理解と支援があれば、誰もが自分らしく生きることができます。
NHK番組や映画、有名人の発信を通じて、社会全体が正しい知識を持つことが、偏見をなくす第一歩です。
・MSDマニュアル(トゥレット症候群) ・Medical DOC(トゥレット症候群の解説) ・LITALICO発達ナビ(チック・トゥレット症) ・NHK Eテレ『はじめましての2人旅』(2026年5月12日・19日放送)