
診療看護師(ナースプラクティショナー)とは?
診療看護師(NP:ナースプラクティショナー)は、医師と看護師の間をつなぐ高度専門職です。看護師としての豊富な臨床経験に加え、医学的知識と技術を備え、医師の指導のもとで一部の診療行為を行うことができます。
主な診療行為:
診察・病状評価
検査(エコーなど)
医師との診療方針の共有・提案
資格取得の流れ|診療看護師になるには
診療看護師(ナースプラクティショナー=NP)は国家資格ではありませんが、専門教育と認定試験を経て認定される職種です。
NP資格認定試験(日本NP教育大学院協議会=JONPF)に合格する必要があります。
ステップ:
看護師として5年以上の実務経験
大学院で診療看護師課程を修了
NP資格認定試験(日本NP教育大学院協議会=JONPF)に合格
現在、日本国内では約1,000人の診療看護師(ナースプラクティショナー=NP)が医療現場で活躍しており、医師の業務負担軽減や患者対応の迅速化に貢献しています。
【事例紹介】高槻病院で活躍する診療看護師|NHK「ほっと関西」より
NHK「ほっと関西」では、大阪府高槻市の高槻病院で診療看護師として働く猪熊咲子さんの取り組みが紹介されました。
猪熊咲子さんのプロフィール:
看護師として10年の経験を積んだ後、大学院進学。
大学院修了後にNP資格認定試験(日本NP教育大学院協議会=JONPF)合格。
診療看護師(ナースプラクティショナー=NP)として5年目
所属:診療部・総合内科(医師と同じ部門)
業務内容:
看護業務(血圧測定・服薬支援など)
診療行為(病状評価・エコー検査など)
医師との連携による診療方針の提案
※制服の袖口には診療看護師を示す"Nurse practitioner"(ナースプラクティショナー)の文字が入っています。
猪熊さんは「看護の経験をもとに医学の知識を持ってより早く患者に関われるようになった」と語り、診療看護師としてのやりがいを実感しています。
総合内科主任部長の堤泉隆彦医師も「診療看護師はチーム全体にプラスαをもたらしてくれる」と高く評価しています。
【事例紹介】和歌山県・橋本市民病院の取り組み
和歌山県の橋本市民病院では、診療看護師(ナースプラクティショナー=NP)の本格的導入に向けた準備が進められています。看護師歴20年の天野健一さんは、春から専門の大学院で専門教育を受けます。専門性を高めて患者に素早く対応できるようにしたいとの意向です。目指すはNP資格認定試験(日本NP教育課程協議会)合格、そして現場での活躍です。
診療看護師の津久井菜々子さんは、看護から派生した新しい職種、「地域にとっても間違いなく良い結果をもたらす」と話しています。
診療看護師がもたらす未来|地域医療と働き方改革の鍵
診療看護師(ナースプラクティショナー=NP)は、医師の働き方改革を支え、患者に対して迅速かつ的確な対応を可能にする新しい医療職です。看護師キャリアの新たな選択肢として、地域医療の質向上にも貢献しています。
診療看護師(ナースプラクティショナー=NP)は、これからの医療現場において、ますます重要な役割を担っていくでしょう。
よくある質問(FAQ)|診療看護師に関する疑問にお答えします
Q1. 診療看護師になるには何年かかりますか?
A. 看護師としての実務経験が5年以上必要で、その後大学院で2年間の専門教育を受けるのが一般的です。NP資格認定試験(日本NP教育課程協議会)の準備期間も含めると、合計で約7〜8年のキャリア形成が必要です。
Q2. 診療看護師と看護師の違いは何ですか?
A. 診療看護師は、看護師としての経験に加えて医学的知識を持ち、医師の指導のもとで診察や検査などの診療行為を行える専門職です。通常の看護師は診療行為を行うことはできません。
Q3. 診療看護師は医師の代わりになれるのですか?
A. 医師の代替ではなく、医師の業務を補完する役割です。診療看護師は医師の指導のもとで診療行為を行い、医療チームの一員として患者ケアの質を高めます。
Q4. 診療看護師の年収はどれくらいですか?
A. 勤務先や地域によって異なりますが、一般的には看護師より高めの給与水準です。医師と看護師の中間的な役割を担うため、責任に応じた待遇が期待されます。
Q5. 診療看護師はどんな職場で働いていますか?
A. 総合病院や地域医療機関、大学病院などで活躍しています。医師と同じ診療部に所属するケースもあり、診療方針の提案や患者対応に深く関わることができます。
Q6.診療看護師が持つ7つの能力とは?
A.日本NP教育大学院協議会(JONPF)は、診療看護師(NP)に必要とされる能力(7つのコンピテンシー)を以下のように定めています。
1)包括的健康アセスメント能力(Comprehensive Health Assessment)
2)医療的処置マネジメント能力(Medical Procedures and their Management)
3)卓越した看護実践能力(Excellence in Nursing Practice)
4)看護マネジメント能力(Nursing Management)
5)チームワーク能力(Teamwork)
6)保健医療福祉制度の活用・開発能力(Development and Utilization of Health and Welfare Systems)
7)倫理的実践能力(Ethical Practice)