秋雪の心臓障害はかなり重症であり、生後半年のあいだに風邪をひいてしまったら、それで終わりだという。絶対に風邪をひかせてはいけない。しかし、運良く感染症にかからなかったとしても、1歳のお誕生日を迎えるのは難しいだろうということ。
秋雪の人生はたったの1年。まだ生まれて1ヶ月だというのに、なぜ命の長さを宣告されなければならないのか。秋雪はなぜ、そんな運命を背負って生まれてきたのか......。
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秋雪のことを守ると決意しても、残酷な現実に心が壊れてしまいそうになる。そんな私を、ぎりぎりのところで支えてくれたのは、秋雪の存在そのものだった。
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「ぼくは生きてるよ」
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あたたかなぬくもりのある体。笑ったり、ベソをかいたり、楽しそうに手足を動かしたり、そんな秋雪の姿が、私の元気の源になってくれる。
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さらに大切な検査がいくつか残っていた。心臓の穴の大きさを調べる心エコー検査の結果、心内膜床欠損症は完全型であることが確定し、なぜかダウン症の合併症として発生しやすいことを知らされた。覚悟を決めて、11月24日、染色体検査を行う。
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(『たったひとつのたからもの-息子・秋雪との六年』加藤浩美/2003年11月30日第1刷/文藝春秋)