フローレンス・ナイチンゲールは、主に父であるウィリアム・ショア・ナイチンゲールから外国語を教わりました。ケンブリッジ大学出身で教育熱心な父は、娘にギリシア語やラテン語をはじめ、哲学や歴史、古典文学など幅広い分野を家庭で教育しました。当時の上流階級の女性としては異例なほど高度な教育でした。彼女も勉強熱心で10代でギリシア語やラテン語を習得しました。
ナイチンゲールは、父から教わった語学力を活かし、単に語学を学ぶだけでなく、哲学者プラトンの著作を翻訳して読んだり、古代ローマの政治家キケロの哲学を分析したりするなど、深く学問を追究しました。
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また、ナイチンゲールは統計学の父と呼ばれるベルギーの学者、アドルフ・ケトレーの著作を読み、統計学に強い関心を持っていました。このときも、外国語の読解力があったからこそ、海外の最新の学術情報を独学で学ぶことができたのです。
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この高い語学力と教養は、後にクリミア戦争でナイチンゲールが統計データを使って病院の衛生状態を改善する際にも大いに役立ちました。
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ナイチンゲールは、統計になじみの薄い国会議員や官僚にもわかりやすいように、当時としては珍しかったグラフ(通称「ニワトリのとさか」と呼ばれる円グラフの一種)を用いて、視覚的に訴えるプレゼンテーションを工夫しました。