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国際助産師の日(International Day of the Midwife)は、毎年5月5日に世界中で祝われている記念日であり、助産師の専門性と母子保健への貢献を広く認識することを目的としています。国際助産師の日は、1990年に神戸で開催されたICM(国際助産師連盟)の国際評議会で正式に制定され、1992年から毎年継続的に実施されています。WHO(世界保健機関)もこの日を通じて、助産師の教育・訓練・制度整備の重要性を国際的に発信しています。
英語の「midwife」は、「with woman(女性とともに)」を語源とする言葉であり、妊娠・出産・産後の過程において女性に寄り添い、支援する専門職の理念を表しています。日本語の「助産師」は、正常分娩の主導、妊産婦の健康管理、産後ケア、育児支援、性と生殖に関する健康教育などを統合的に担う国家資格の医療職です。ICMはこの職能の国際的標準化と教育の質向上を推進しており、各国の制度整備を支援しています。
国際助産師の日は、1987年のICMハーグ大会で初めて提案され、1990年の神戸大会で5月5日を記念日とすることが正式に決定されました。国際助産師の日の初回実施は1992年です。以降、毎年異なるテーマが設定され、世界中の助産師団体や医療機関が啓発活動を展開しています。国際助産師の日は、助産師の社会的役割を可視化し、母子の健康を支える制度的基盤の強化を促す機会となっています。
国際助産師の日では、ICMが毎年異なるテーマを設定し、その年の社会的課題や保健ニーズに応じたメッセージを発信しています。近年では、災害、紛争、気候変動などの危機下における助産師の役割が強調される傾向にあり、助産師が地域に根ざした信頼されるファーストレスポンダーとして、SRMNAH(性と生殖・母体・新生児・思春期保健)サービスを提供する重要性が再確認されています。
助産師は、妊娠高血圧症候群、早産徴候、異常出血、感染症、分娩遅延など、妊娠・出産期におけるさまざまな症状に対応しています。これらの症状は母体や胎児の健康に重大な影響を及ぼす可能性があるため、助産師は日常的な観察と早期のリスク評価を通じて、異常の兆候を見逃さず、必要に応じて医師と連携する役割を果たしています。
助産ケアは、母体の基礎疾患、栄養状態、社会的背景、胎盤や胎位の異常などのリスク要因を総合的に評価し、予防的なアプローチを重視しています。継続的なケアと信頼関係に基づく支援により、妊産婦の安心感を高めるとともに、異常の早期発見と適切な医療介入を可能にしています。これにより、母子の健康アウトカムの向上が期待されます。
教育現場では、危機対応能力、倫理的判断、リスク評価、継続ケアの重要性などがカリキュラムに組み込まれています。国際助産師の日のテーマに沿ったケーススタディや国際的な教材を活用することで、学生や若手助産師の実践力を高めています。また、院内研修や地域連携の場でも、助産師の役割を再確認し、災害時のBCP(事業継続計画)における位置づけを明確にする取り組みが進められています。
国際助産師の日の公式ポスターは、ICMが毎年発表するテーマに基づいて制作されており、助産師の専門性や社会的役割を視覚的に伝える重要な啓発ツールです。国際助産師の日ポスターには、地球を背景にした助産師と母子のイラスト、平和・連携・希望を象徴する色彩、ICMロゴとテーマ文言が明記され、国際的な統一感と親しみやすさを両立しています。日本では日本看護協会がICMの公式素材をもとに日本語版ポスターとSNS用画像を作成・公開しており、医療機関や教育現場での啓発活動に広く活用されています。
・International Confederation of Midwives(ICM)公式サイト
・ICM「International Day of the Midwife」啓発ツールキット
・World Health Organization(WHO)「International Day of the Midwife」
・日本看護協会「国際助産師の日」ポスター・画像素材ページ
・日本助産師会「助産師の役割と国際的活動」