
![]()
「看護師(ナース)」という職業を確立し、歴史を動かした女性たちは、世界各地でどのように誕生したのでしょうか?
近代看護の母フローレンス・ナイチンゲールが灯した火は、やがて国境を越え、各地で「トレインドナース(正規の教育を受けた看護師)」という専門職を誕生させました。
2026年度前期のNHK連続テレビ小説『風、薫る』のモデルとして注目を集める大関和(おおぜきちか)や、幕末のジャンヌ・ダルクこと新島八重など、日本での歴史はもちろん、アメリカ、欧州、さらにはアジアやアフリカの知られざる先駆者までを網羅して解説していきます。
世界16か国の「トレインドナース」「初代看護師」たちがどのような困難を乗り越え、現代の医療の礎を築いたのか。世界の看護のルーツを見ていきましょう。
「トレインドナース(Trained Nurse)」とは、一定の教育課程を修了し、科学的な知識と技術を習得した「正規の訓練を受けた看護師」を指します。19世紀以前、病人の世話は主に家族や宗教的な奉仕者が担っていましたが、ナイチンゲールの出現により、看護は「科学」となりました。
医学の進歩とともに、医師の指示を正確に理解し、衛生管理を徹底できる人材が不可欠となりました。単なる「善意」ではなく、解剖学、生理学、衛生学を学び、体系的な看護技術を持つプロフェッショナルが必要とされたのです。
1860年にロンドンで設立されたナイチンゲール看護学校は、看護を宗教的奉仕から「独立した専門職」へと昇華させました。ナイチンゲールの教育を受けた卒業生たちは「ナイチンゲール・ナース」と呼ばれ、世界中に近代看護の種をまきました。
※以下の情報は、各国において「近代看護教育の先駆者」として公的に記録されている人物・グループです。
2026年度前期の連続テレビ小説『風、薫る』のモデル、大関和(おおぜき ちか)は、日本の近代看護教育における真の先駆者です。
イギリス看護の歴史は、1860年のナイチンゲール看護学校設立から始まります。1861年に卒業した15名の第1期生たちが、世界で最初に専門教育を修了したプロ集団となりました。
1836年に設立されたこの養成所は、ナイチンゲールも学んだ場所です。宗教的な枠組みの中で、世界に先駆けて体系的な看護教育を開始しました。
1905年に私立看護学校を設立。フランスにおける看護の世俗化と国家資格制度の確立に尽力しました。
クリミア戦争においてロシア軍の救護活動を指揮。野戦病院での看護組織を確立したロシア近代看護の祖です。
1891年、インド人女性として初めて看護教育を修了した記録が残っています。厳しい社会環境下で職業看護師の道を拓きました。
1896年、タイ初の看護学校設立を支援。王室が看護教育を推奨したことで、国内の看護の地位が急速に高まりました。
1873年、アメリカ初のトレインドナースとして卒業。彼女がいなければ、日本の大関和の誕生も遅れていたと言われるほどの影響を与えました。
1908年に資格を取得した、アフリカ大陸初の黒人登録看護師です。彼女の成功は、人種を問わず専門職を目指す道標となりました。
パラグアイ戦争での献身から「ブラジル看護の母」と呼ばれ、後に彼女の名を冠した近代看護学校が設立されました。
世界16か国の先駆者たちに共通するのは、「奉仕」を「専門職」へと変えようとした強い意志です。2026年、大関和の物語が朝ドラ『風、薫る』として描かれることで、看護の歴史に新たな光が当たります。現代の医療の価値を再確認することに繋がるでしょう。