塾長ブログ「一粒万倍」 - 社会人入試

ガスライティングとは:意味由来と実例・映画や韓国ドラマ・心理的支配虐待

「最近、相手との会話で『自分の記憶がおかしいのかな?』と不安になることはありませんか?」

「そんなこと言ってない」「考えすぎだよ」――。こうした言葉を繰り返し投げかけ、あなたの自信や正気を奪う行為を「ガスライティング(Gaslighting)」と呼びます。これは単なる喧嘩ではなく、ターゲットの現実感覚を破壊する心理的虐待の一種です。

本記事では、言葉の由来となった古典名作から、近年注目される韓国ドラマでの描写、そして日常生活でこの支配から逃れるための具体的な対処法までを正確に解説します。

相手をコントロールする「心理的操作」

ガスライティングの本質は、加害者が被害者を意図的に欺き、「被害者自身の記憶、知覚、正気」を疑うように仕向ける心理的操作にあります。加害者は、明白な事実を否定したり、矛盾した情報を意図的に提示したりすることで、被害者の現実感覚をじわじわと崩していきます。

精神医学的な診断名ではないが、深刻な被害を生む

ガスライティングは精神医学における正式な診断名(病名)ではありません。しかし、臨床心理学においては、DVやハラスメントの現場で見られる強力な支配手法として定義されています。被害者は深い自己不信や抑うつに陥るリスクがあり、その精神的ダメージは物理的な暴力に匹敵するほど深刻です。

言葉の由来は映画『ガス燈』。巧妙な洗脳のストーリー

この言葉は、1944年のジョージ・キューカー監督、イングリッド・バーグマン(ポーラ役)とシャルル・ボワイエ(グレゴリー役)主演の映画『ガス燈(Gaslight)』に由来しています。

名作映画『ガス燈(Gaslight)』のあらすじ

主人公ポーラは、夫グレゴリーと暮らし始めますが、彼には「家の中に隠された宝石を奪う」という目的がありました。彼は夜な夜な屋根裏部屋に忍び込みますが、彼が屋根裏のガス灯を点けると、家全体のガス圧が下がり、ポーラの部屋のガス灯の明るさがわずかに暗くなります。

ポーラが明かりの異変を訴えても、グレゴリーは「それは君の気のせいだ」「君は病気だ」と繰り返し伝え、彼女の感覚を完全に否定しました。これによりポーラは自らの正気を疑い、精神的に追い詰められていくことになります。

韓国作品に描かれる「ガスライティング」:キャストと役柄

韓国ドラマや映画では、実力派俳優たちがこの「目に見えない支配」を迫真の演技で表現し、社会的な関心を集めています。

ドラマに見る恋愛・家族間の心理支配

  • 『わかっていても』: ソン・ガン演じるパク・ジェオンが、ハン・ソヒ演じるユ・ナビに対して見せる、曖昧な言動で相手を翻弄し「自分を責めさせる」態度は、恋愛におけるガスライティングの典型としてSNS等で議論されました。
  • 『サイコだけど大丈夫』: ソ・イェジ演じるコムニョンに対し、その母親が「お前は私の一部だ」と呪縛をかける行為が、家庭内における情緒的ガスライティングとして描かれています。
  • 『私の夫と結婚して』: イ・イギョン演じる夫や、ソン・ハユン演じる親友が、パク・ミニョン演じる主人公を「お前はダメな人間だ」と洗脳し、孤立させる手口が衝撃を与えました。

映画『お嬢さん』における意図的操作

パク・チャヌク監督の映画『お嬢さん』では、ハ・ジョンウ演じる詐欺師(伯爵)が、キム・ミニ演じる令嬢・秀子に対し、「お前は精神を病んでいる」と信じ込ませようとする高度な心理的操作が緻密に描かれています。これに対し、キム・テリ演じる下女がどう関わるのかが見どころとなっています。

これってガスライティング?注意すべき4つの言動

  • 記憶の否定:「そんなこと言ってない」「君の勘違いだ」と事実を覆す。
  • 感覚の軽視:傷ついたと伝えても「気にしすぎだ」と相手の過敏さにすり替える。
  • 嘘と矛盾:明らかな嘘を堂々とつき、こちらが混乱すると「理解力が低い」と批判する。
  • 周囲への工作:第三者に「あの人は情緒不安定だ」と言いふらし、被害者を孤立させる。

ガスライティングに気づいたら:自分を守るための対処法

客観的な「記録」を最優先する

相手とのやり取りを、日記やメモ、録音などで具体的に記録してください。「自分の記憶は正しい」と客観的に確認できる証拠を持つことが、支配を解く最大の盾になります。

第三者の視点を取り入れる

加害者はあなたを孤立させようとします。信頼できる友人や、心理カウンセラーなどの「外部の人」に状況を話してください。外部の視点に触れることで、歪められた現実を修正することができます。

まとめ:あなたの感覚は、決して間違っていません

ガスライティングは、じわじわと自尊心を奪う行為です。しかし、その手口を理解し、「自分の違和感は正しい」と確信することで、必ず抜け出すことができます。あなたは狂っていません。自分を信じる勇気を持ってください。

資料請求

まえのページ

▲ このページのトップへ