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NHK「時をかけるテレビ」は、池上彰が過去の名作番組を再検討し、現代へのメッセージを読み解く教養番組です。2025年11月21日放送回では、2001年の「NHKスペシャル」で放送されたドキュメンタリー「たったひとりの医師として ~ えりも・辺地医療の11年」を取り上げ、北海道えりも町で地域医療に尽くした鈴木陽子医師の歩みを紹介します。スタジオゲストは医師で作家の南杏子。高齢期の暮らしと医療のヒントを語ります。
鈴木陽子医師は徳島県出身。薬学部卒業後、厚生省勤務を経て、大阪で2人の子育てをしながら医学部に再入学。42歳で医師免許を取得し、49歳で北海道えりも町の診療所に単身赴任しました。町内唯一の医療拠点を11年間支え続けたその記録は、地域医療の原点を問い直す貴重な証言です。
背景:えりも町は北海道の南端に位置し、漁業が主産業の人口約5,000人の町。町内唯一のえりも町立診療所は、1日150人規模の外来に対応し、訪問診療・往診も担う地域の命綱でした。
鈴木陽子医師は、えりも町立診療所で外来・救急・訪問診療を一手に担い、視力を失った高齢者の自宅を訪ねるなど、生活に寄り添う医療を実践しました。番組では、診療所を去る直前の数か月間に密着し、患者との深い信頼関係や、地域に根ざした医療の姿が描かれます。
鈴木陽子医師は、2001年にえりも町を離れた後、兵庫県淡路島で診療所を開設し、現在も地域医療に携わっていると報じられています。会社員の夫と2人の子どもがあり、医師を志したきっかけは、子育て中に見た辺地医療のテレビ番組だったと語られています。
また、息子さんが膵臓の病気で倒れた際には、医師としての知識と母としての思いが交錯する経験をされたことも紹介されています。現在の診療所名や活動の詳細は公的に確認できていないため、今後の続報が待たれます。