塾長ブログ「一粒万倍」 - 社会人入試

鶏頭図(けいとうず、英: coxcomb chart)とは|ナイチンゲールが生んだ統計可視化の名作

鶏頭図(けいとうず)とは、イギリスの看護師フローレンス・ナイチンゲールが考案した、極座標を用いた統計グラフです。英語では coxcomb chartnightingale rose diagram とも呼ばれ、円グラフと棒グラフの特徴を併せ持つユニークな可視化手法として知られています。

この図は、1850年代のクリミア戦争において、戦闘による死者よりも感染症による死者が多いことを視覚的に訴えるために作られました。ナイチンゲールはこの図を使って、イギリス政府に医療改革の必要性を強く訴えたのです。

鶏頭図の特徴と構造

鶏頭図は、1年12か月のデータを放射状に配置し、各月のデータ量を扇形の面積で表現します。ナイチンゲールの図では、

  • 青:感染症による死者
  • 赤:戦闘による死者
  • 黒:その他の死因

と色分けされ、月ごとの死因の変化が一目でわかるようになっています。

なぜ「鶏頭図」と呼ばれるのか?

日本語の「鶏頭図」は、図の形が鶏のとさか(鶏冠)に似ていることから名付けられました。ただし、ナイチンゲール自身はこの名称を用いておらず、現代では「ナイチンゲール・ローズ・チャート」や「極座標面積図」と呼ばれることもあります。

現代における活用例

鶏頭図は、以下のような分野で活用されています:

  • 医療統計(感染症の推移など)
  • 気象データ(風配図)
  • 季節ごとの売上・アクセス解析

視覚的にインパクトがあり、時間軸と量的変化を同時に表現できるため、データジャーナリズムや教育現場でも注目されています。

まとめ|鶏頭図は「データで社会を変える」力を持つ

ナイチンゲールが鶏頭図を通じて成し遂げたのは、単なる統計の提示ではなく、人々の命を守るための説得力ある可視化でした。現代の私たちも、データを「伝える力」として活用するヒントを、この図から学ぶことができます。





資料請求

まえのページ

▲ このページのトップへ