塾長ブログ「一粒万倍」 - 社会人入試

『痛みの消えた朝~私のリューマチ五千日闘病記~』長谷川季子

私は家事にかけてはまだまだ幼稚園児なみでしたから、なにひとつ満足にできるものもありません。その上疲れやすく長く立ってはいられないので、台所にも椅子を置いて15分くらいたつと腰掛けて休む。ひと休みしてまた仕事を始めるの繰り返しで、ひとつのことをやるにも時間がとても長くかかるのでした。

そんなわけで子どもたちにもお弁当ひとつ満足に作ってやることのできない、悲しい母親だったのです。睡眠時間も10時間はとるようにと病院でいわれていたので、本当に1日がアッという間に過ぎる短さでした。

母やお手伝いさんがいてくれたころには、息子たちはなにもかも行き届いた世話を受け、なに不自由のない生活だったのが、私の病気を境にうって変わった境遇になってしまい本当にかわいそうでたまりませんでした。

(『痛みの消えた朝~私のリューマチ五千日闘病記~』長谷川季子/1984年5月20日/講談社)

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