塾長ブログ「一粒万倍」 - 社会人入試

カイザースヴェルトとナイチンゲール

カイザースヴェルト(Kaiserswerth)とはドイツ(デュッセルドルフ)のライン川沿いに位置する町です。1836年創設のディアコニッセ母院が近代看護の礎を築いた地として歴史的に意味があります。

19世紀半ばのヨーロッパでは看護は未熟な職業とされ、多くは教育を受けていない女性や元修道女が担いました。しかし、カイザースヴェルトでは、ディアコニッセの女性たちが、規律に基づいた体系的な教育と訓練を受け(トレインドナース)、加えて道徳的・宗教的な指導もしました。

フローレンス・ナイチンゲール(Florence Nightingale, 1820-1910)はイギリスの裕福な家庭に生まれ、社会的名声よりも看護の道を選びました。1851年、ナイチンゲールは2週間カイザースヴェルトを訪れ、その後も何度か滞在し、訓練を受けました。

1853年にクリミア戦争が勃発、イギリス軍兵士の劣悪な衛生環境が問題となりました。ナイチンゲールは看護婦団を率いてイスタンブールのスクタリ(Scutari)にある病院に派遣され、病院の衛生環境改善、組織改革、患者ケアの向上に尽力しました。クリミア戦争での功績が認められ、1860年ロンドンのセントトーマス病院(St. Thomas' Hospital)内にナイチンゲール看護学校を設立しました。

映画『白衣の天使』(The White Angel, 1936年)
この歴史映画は、フローレンス・ナイチンゲールの伝記を題材としており、彼女がクリミア戦争で活躍する姿を描いています。物語の冒頭では、彼女が看護師になることを決意し、家族の反対を押し切ってドイツの看護学校(カイザースヴェルトの施設)へ旅立つ様子も描かれています。これは、カイザースヴェルトでの修業時代を描写した初期の作品として重要です。

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